不妊外来(不妊治療)

不妊外来のご案内

不妊外来

「赤ちゃんが欲しいのに……」
ひとりで、ご夫婦で、悩まないで。
専門医と十分なコミュニケーションを取りながら、ベストの方法を探っていきましょう。

不妊症とは

妊娠を望み、2年以上避妊をせずに、普通に夫婦関係を持たれているにもかかわらず、妊娠が成立しないことをいいます。1年間で妊娠される確率が70~80%、2年間で妊娠される確率が90%といわれているためです。

検査方法

女性側の原因としては、排卵因子(多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、卵巣機能低下など)、卵管因子(閉塞、狭窄、癒着など)、子宮因子(一部の子宮筋腫、内膜ポリープ、子宮奇形など)、頸管因子(頸管粘液の分泌低下)、免疫因子(抗精子抗体)などがあります。
男性側としては、造精機能障害(精子の数や運動精子が少ない)、性機能障害(勃起障害、射精障害など)、精路障害(精子の通り道の閉塞)などがあります。主にこれらにつき検査をしていきます。

  • 基礎体温

    基礎体温とは、毎朝目覚め、起き上がる前に婦人体温計で口腔内の温度を測定したもので、基礎体温表に記入することで、排卵の有無や月経周期(月経開始日から次回月経が開始するまでの日数)がわかります。自分の月経周期が掴めてくると、排卵時期も推定しやすくなってきます。
    起床時間がまちまちでも、体を動かす前であれば大丈夫です。
    毎日測って頂くのが望ましいですが、数日抜ける事があっても十分役にたちますので、面倒と思わずに続けましょう。

  • ホルモン検査
    卵胞刺激ホルモン(FSH)
    黄体化ホルモン(LH)
    脳下垂体から分泌されるホルモンで卵巣の働きをコントロールします。主に月経中に検査します。
    エストロゲン
    (E2:卵胞ホルモン)
    卵の成長を反映します。排卵期にピークになります。
    プロゲステロン
    (P4:黄体ホルモン)
    卵後に形成された黄体から分泌され、子宮内膜を着床しやすい状態に整えるホルモンです。黄体期(高温相)の中間頃に検査します。
    プロラクチン
    (PRL:乳汁分泌ホルモン)
    娩後に母乳を出すホルモンです。高い場合は排卵障害や黄体機能不全の原因になります。一部の胃薬や精神安定剤、抗うつ薬で上昇する事がありますが、やめる場合は自己判断ではなく、必ず処方医に相談しましょう。
    甲状腺ホルモン 異常があると排卵障害、着床障害、流産の原因になると言われており、不妊症や不育症と密接な関連があります。異常がある場合は甲状腺専門医の診察を受けて頂き、不妊治療から妊娠、出産まで一貫して診させて頂きます。
  • クラミジア検査

    子宮頸管にいるかどうかを調べる抗原検査と、卵管や腹腔内に進行した感染が無いかを調べる抗体検査があります。クラミジアは、子宮頸管から卵管に上り、炎症を起こすと卵管閉塞、狭窄、卵管周囲癒着などを起こし、不妊症や異所性妊娠の原因になることがあります。治療はご本人だけでなく、ご主人、パートナーへの治療も必要になります。

  • 子宮卵管造影

    造影剤を用い、子宮や卵管に異常がないかを確認するレントゲン検査です。
    卵管に狭窄や閉塞があると妊娠しづらくなります。また子宮内に粘膜下筋腫や内膜ポリープなどがあることでも妊娠しづらくなると言われています。少し痛みを伴う方もありますが、検査により卵管の通過性が改善され、その後妊娠されるケースも少なくありません

  • 頸管粘液検査、フーナーテスト(性交後頸管粘液検査)

    頸管粘液は排卵期になると、量が増え、粘りが低下して透明になり、精子が通り易い状態に変化します。そのころに行うのが、フーナーテストで、夫婦生活の翌日に頸管粘液を採取し、その中の精子の状態を確認します。運動精子が少ない場合は人工授精をお勧めします。また極端に不良な場合は、抗精子抗体の検査が必要になります。

  • 抗精子抗体

    何らかの免疫異常でできる精子を障害する抗体です。頸管粘液内、卵管内、卵胞液中に存在し、精子の運動性や受精を妨害します。かなり高値である場合は体外受精が必要になることがあります。

  • 内診、超音波検査

    排卵時期予測のための卵胞サイズの計測の他、子宮筋腫、子宮内膜症、内膜ポリープといった子宮の異常、卵巣腫瘍の有無などを調べます。

  • 糖尿病

    糖尿病があると妊娠しづらくなるだけでなく、未治療のまま妊娠すると胎児奇形、巨大児、胎児胎盤機能不全など母体や胎児に悪影響が及ぶ可能性があります。
    当院では糖尿病専門医が内科にいますので、不妊治療から妊娠、出産まで一貫して診させて頂いております。

  • 精液検査

    男性不妊は不妊3大原因の一つとされており、男性の検査も重要です。
    専用のカップに自宅で採精して頂き、精子の数、運動率、奇形率を調べます。ストレスなどでも変動する事がありますので、必要に応じて再検査を行うこともあります。

  • その他検査
    抗ミューラー管ホルモン
    (AMH)
    発育過程の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣予備能(卵巣の中に残っている卵子の目安)を知ることができます。
    腹腔鏡検査 全身麻酔をかけ、臍部からカメラを入れてお腹の中を観察する手術です。骨盤内臓器の状態が確認でき、子宮、卵管、卵巣、その周辺の癒着や炎症、子宮内膜症の進行状況など外来検査ではわからなかった不妊原因がわかることがあります。また、性交翌日に行う事により、精子が腹腔内まで到達しているのか確認が可能です。さらに腹腔内洗浄で受精阻害物質を除去することにより妊娠率が向上するともいわれています。
    手術は腹腔鏡専門医が行いますので、内膜症病巣除去術や卵巣嚢腫摘出、筋腫も大きさ、位置、個数によりますが腹腔鏡下での摘出も行っております。
    風疹 風疹に対する免疫が無い、または少ない女性が妊娠中に風疹にかかると、お腹の赤ちゃんに感染し、難聴、心疾患、白内障、緑内障、精神や身体の発達遅延などの障害が起こる頻度が高くなります。これは先天性風疹症候群と言われ、妊娠週数が早いほど頻度は高くなります。予防のためには妊娠前に免疫をつけておく事が重要です。検査を受けたことが無い方は、この機会に受けてみることをお勧めします。

原因不明不妊

検査をしても明らかな原因が見つからないもので、検査で見つからない原因が潜んでいる事もあります。不妊症の10~15%とされてきましたが、近年高年齢の不妊女性が増えてきたこともあり、増加傾向にあると考えられています。精子や卵子の機能低下は加齢が大きな原因と考えられ、その機能を回復する有効な治療はほとんどありませんので、そうなる前に治療を開始する事が大切です。